皆さんは、上智大学が社会からどのような印象を持たれているように思いますか?

「国際色豊か」「みんな英語がペラペラ」「”君の名は。”でキャンパスが映った」など、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。そんな上智大学の学部・大学院をはじめとする教学組織を責任者として統括されているのが、今年4月に第16代上智大学学長として選出された曄道佳明教授です。本記事では、今学生が置かれている状況や上智大学の今後、そして今学生が身につけるべき能力は何なのかについて、現役上智大学生が曄道学長にインタビューをしました。

曄道 佳明:慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業、同大学大学院理工学研究科機械工学専攻満期退学。博士(工学)。 東京大学で助手を経て、98年4月に上智大学理工学部助教授。04年4月より同教授。学生センター長、入学センター長、 学務担当副学長、グローバル化推進担当理事補佐、国際協力人材育成センター長等を経て、17年4月より現職。 
 磐崎友玖:現役学生。常総学院高等学校卒業後、上智大学法学部法律学科2年を終えて今年3月より米シリコンバレーで留学中。外資系IT企業での長期インターンでデータサイエンス教育改革のプロジェクトマネージャーなどを務め、文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の「理系、複合・融合系コース日本代表」にも選出されている。

— 曄道先生、本日は宜しくお願い致します!まずは自己紹介をお願いします。

 今年4月から第16代上智大学学長に就任しました、曄道佳明(てるみちよしあき)です。 理工学部で機械工学を専門に研究しています 。慶應大学理工学部を卒業後、1998年から上智大学に勤めていて、ちょうど20年が過ぎようとしています。

— 意外にも、上智大学卒業ではいらっしゃらないのですね。

 そうなんです(笑) ソフィア会などに出席すると肩身が狭いとよく思われがちですが、実際はそんなことありません。上智への愛情は誰にも負けないと自負しています。

— ありがとうございます笑 それでは早速、大学についてお話を伺わせてください。まず、日本の大学生がおかれている状況についてどのように考えているか教えていただけますか?

 一言で表すと、混沌とした社会になっていると考えています。

 みなさんもご存知の通り、ますますグローバル化や科学技術が発展し、日本ひいては世界がどのように変化していくか、予測することはとても難しくなっています。日々刻々と社会情勢が移りゆく中、誰も答えを知らない将来の世界でどのように生きていくか。そのような思考の方法論を持つことが求められる時代なのだと思います。

— なるほど。大学に限らず、日本ではグローバル化の対応について多くの組織で課題になっています。なぜここまで問題になってしまっているのでしょうか?

 日本がグローバル化に追いついていない理由として、私が注目していることは「日本人のグローバルセンス不足」と「日本自体の求心力の低下」です。

 まず、「日本人のグローバルセンス不足」について。例えば、日本で多様性に関わる議論が行われた時、「マイノリティ」という言葉がよく挙げられますね。しかし、あくまで「日本人から見たマイノリティ」の話であって、日本人自身が世界的にはマイノリティであると自覚している人って意外と少ないのではないでしょうか。今の若者は自分が海外に行くかどうかに関わらず、教育過程を通じてグローバル化に触れる機会が増えています。しかし、日本の社会はこれまで国内に閉じた形でも世界を席巻する科学技術で成功してきたため、グローバルセンスを磨く機会が決して多くはありませんでした。当然その感覚はグローバル社会に適合するものとは言えず、今日のように対応に迫られているのだと思います。

多くの産業がグローバル化を迫られている

 次に、「日本自体の求心力の低下」です。確かに日本には、世界に誇る科学技術で一世を風靡していた高度経済成長期があり、「科学技術」をきっかけに日本を訪れる外国の方も多くいらっしゃいました。しかし現在、日本企業は当時のような勢いを失い、近年日本にやってくる留学生の関心は主に「アニメ」へと変わりつつあります。もちろん日本の誇る文化ですので決して悪くはありませんが、世界の情勢が著しく変化しているいま、「アニメ」という動機だけで海外の優秀な学生や教員をいつまで確保し続けることができるでしょうか。そのような点において、日本の長期的な成長のためにも求心力の向上は急務だと考えています。

— 例えば、上智大学も採択されている文部科学省「スーパーグローバル大学」などの取り組みがありますが、多くの大学が「授業の英語化」など似たような取り組みをしてしまい、ある意味「埋没」してしまっている印象も受けます。上智大学の立ち位置に関して、どのようにお考えでしょうか。

 グローバル化が十分でない日本という国に、「スーパーグローバル大学」が37もあることは、その中でどのように個性を発揮するかということが求められます。 これまでに上智大学は、スーパーグローバル大学創成支援事業に限らず、大学国際化に関わる助成事業に多く採択されてきました。

 私たちは「個性を磨いていくこと」が、グローバル社会で生きていく上で最も重要なことだと考えています。社会がグローバル化することは、社会が均質化することとは異なり、むしろ、多様な個性が顕在化することを意味します。そういった点で、上智大学は学生のみなさんが個性を伸ばすのにぴったりな大学なんです。

 上智大学の建学の理念は覚えていますか?「隣人性」と「国際性」です。私たちは創立以来、世界各国のイエズス会とのつながりをベースとして様々な取り組み実績を積み重ねてきました。これが上智大学の個性・ブランドにもなっていて、自信を持って挑戦し続けられている理由です。

— では、学生が自分の個性を磨いていくためにも、 教育を通じてどのような力を伸ばそうとお考えでしょうか?

 私たちは、個性を伸ばしてグローバル社会で活躍する学生を輩出するために、学生ひとりひとりの「社会を展望する力」、そして「自分自身をデザインする力」を育むことが重要だと考えています。そのため私たちは「グローバルキャンパス」という取り組みを推し進めています。

— 「グローバルキャンパス」とはどのようなものでしょうか?

 グローバルキャンパスにはふたつの意味があります。

 ひとつ目は「四谷キャンパスをグローバル社会の縮図にすること」です。 上智大学には現在、通年で世界77ヶ国から約2300人の留学生が在籍しており、そして9学部・29学科の在籍する全学生あわせて約1万3000人がひとつのキャンパスに集まっています。実は、すべての学部が一箇所に集結している総合大学はそうありません。 社会で生じる様々な問題はひとつの学問だけで対峙できるものではないため、専門を軸にワンキャンパスで多岐に渡る学際的な学びが実現され、横のつながりを確保できるということは上智大学の強みです。すべての学部の学生が挑戦でき、その集合体の中でグローバル社会で必要な素養を身につけられる授業の例として、グローバルコンピテンシープログラム」や「データサイエンスプログラムが挙げられます。

多岐にわたる学部学科がひとつのキャンパスに集まっている

ソフィアタワーも完成し、多岐にわたる学部学科がひとつのキャンパスに集まっている

— データサイエンスプログラム、いいですよね。僕も取っています。三菱総研と提携していて、ハイレベルクラスは社会人の方も参加できるようになっているのが特徴的ですよね。

 実は、あのプログラムは私が設計しました。 講義名は理系向けのように感じますが、私は文系学生にこそ受けて欲しい。ビッグデータや人工知能のような科学技術の発展もグローバル化の一部です。例え理系でなくても、テクノロジーやデータに対する素養を身につけることは大切です。何が生まれて何が残るかわからない社会において、専門性だけでなく幅広い素養、教養を身につける意義は大きいので、ぜひこの記事を見た学生には受講していただきたいですね。

 グローバルキャンパスのふたつ目の意味は、「世界中に学びのフィールドが用意されていること」です。上智大学は現在316校の海外協定校があり、地域で考えれば南極以外どこにでも行くことができます。例えば通常の交換留学以外にも、カメルーンでのスタディーツアーや共同通信ワシントン支局のインターン、加えて国際機関の駐日事務所・駐アジア事務所との協定を結んだ特別プログラムなど、世界各国で挑戦できるチャンスを用意しています。これまではボストンやジョージタウンなどアメリカ東海岸との関係性を強めてきましたが、最近はシリコンバレーやロサンゼルスなど西海岸にもグローバルキャンパスとしての具体的なプログラムを展開しようとしています。

— それで今日、シリコンバレーにいらっしゃったのですね。(※取材は米カリフォルニア・シリコンバレーで行われている)

 そうなんです。

 加えて、私たちは優秀な卒業生を海外大学院に推薦する制度も作っています。上智大学を3年間で早期卒業して、フォーダム大学やコロンビア大学などの修士1年間のコースに進学することもできる。これによって、計4年間で上智大学の学士と海外大学院のマスターが取れてしまいます。経済的な負担も少なくなり、すでにこの制度を利用している学生もいるんですよ。

— それは魅力的ですね。僕自身、現在海外留学をしていますが、やはり時間的・経済的な問題は無視できないので、とても需要がある制度だと思います。

間違いないです。ちなみに磐崎くんはトビタテで留学しているんだよね?

— そうですね。「トビタテ!留学JAPAN」は文部科学省が推し進めているグローバル人材育成プログラムで、最大2年間数百万円に上る返済不要の奨学金が出ます。また、僕は上智大学法学部在籍ですが、過去の取り組みや留学計画を元に「理系、複合・融合系コース」で採用していただいています。

 いいですね。トビタテは休学留学や交換留学だけでなく、先ほどお話ししたスタディーツアーや共同プログラム、海外インターンなどに加え、修士丸々1年間だって返済不要の給付金で支援してもらえます。支援期間も1ヶ月程度のものから2年間のものまでと幅広いので、 ぜひこれらを利用する学生はトビタテにも応募してみて欲しいです。

— それでは最後に、今後の上智大学の方針と学生に対するメッセージをお願いします。

 これから上智大学は、グローバルキャンパスを加速させるために留学生も増やしたいと考えています。例えば、ニューヨークに国連が運営するインターナショナルスクールUNISがあり、そこで先生として働いている上智大学の卒業生と、海外の高校生が上智大学に留学したいという状況を作るためにはどうしたら良いのかについて議論を重ねています。

 また、国際教養学部はもちろんのこと、理工学部などの学部もすでに英語の授業だけで卒業できるようなっています。日本人だけでなく、留学生にとっても魅力的な大学にすべく、今後さらにそのような学部学科を増加させようと思っています。しかし、やはり留学生を増やすという点では「日本の求心力」も課題となるので、大学間コンソーシアムや民間企業とも連携を深めていきます。

 改めて、社会は予測不可能なものへと変貌を遂げています。そんな真のグローバル社会において、私たちや上智生は自分の立ち位置をしっかり見つけることができるか。上智大学では「タフな精神力」「語学力」といった日本流のグローバルスキルだけではなく、本当に必要とされる価値観や志を養うことができるプログラムを沢山用意しています。ぜひこの学生生活4年間では、自分自身が経験したことのない世界、居心地の良いとは言えない空間、普段の自分とは真反対にある世界に思い切って飛び込んでみて、視野を広めるきっかけにしてみてください。応援しています。

— 本日はありがとうございました!

ありがとうございました!


■ 編集局コメント

上智大学にはたくさんの機会があることがわかりましたね。これまでフル活用してきた学生も、そうでない学生も、ぜひこの記事をきっかけに挑戦してみてください!また、取材をした磐崎が採用されている「トビタテ留学JAPAN」は、まもなく第9期の募集が始まります。上智大学公式プログラムやAIESECなどの学生団体を通じて留学や海外インターン・ボランティアに取り組みたい方は、ぜひグローバル教育センターや学生センターなどにご連絡ください!

※ グローバル教育センターが留学ガイダンスを行います!興味がある方は参加してみてください。

グローバル教育センターはこちら

文部科学省トビタテ留学JAPANはこちら

 

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yukuiwasaki

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上智大学法学部法律学科3年。外資系IT企業のインターンなどを経て、今年3月より米シリコンバレーで留学中。Pythonを用いた深層学習技術や現地AIスタートアップについて研究しており、文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の「理系、複合・融合系コース日本代表」に選出されている。