『Modifica』再起動ス。

デザイナーの交代を経て、『Modifica』はリブートした。デザイナーさんが交代した関係で、当初予定していた発行日を一か月遅らせなければならなくなった。協賛をしてくださった企業の方々にもその旨、連絡をした。事情を話したところどの企業の方も優しく、発行日の延期を承諾してくださった。

ここから一か月弱は、ひたすらYさんが作成してくださったデータのチェックや校正に時間を費やした。

冊子のデータ作成にあたって、Yさんからはデザインの大まかなイメージを教えて欲しいと言われた。そこで私はある雑誌をYさんに渡した。『Modifica』を読んだ方の一部からは、「これ絶対『POPEYE』イメージして作ったでしょ」と言われた。ご明察である。大学生に受け取ってもらいたかったので、デザインはとにかくお洒落にせねばと思い、自分の知っている中で一番お洒落な『POPEYE』をイメージにデザインを作成してもらった。

話はそれてしまうが、デザイン面は『POPEYE』を参考にしたものの、企画面はまた別の雑誌を参考にさせていただいた。それは『本の雑誌』である。毎月、丸ごと一冊、その名の通り本のことだけが書いてあるコラムマガジンである。「人の本は汚すな!本の読み方四十八手!?」「太宰治は本当に人間失格なのか?」「本を処分する100の方法!」「読書スランプ脱出法!」等々、その特集で一冊雑誌作れるのかよ⁈と言いたくなる号ばかりであるが、本だけでこれだけ面白い企画が作れるのか!と毎号驚かされてしまう雑誌だ。読書特集を組む以上は『本の雑誌』を意識しないわけにはいかず、内容は『本の雑誌』風、デザインは『POPEYE』風の不思議な雑誌が出来上がった。

そして月が替わって、6月1日『Modifica』はやっと入稿に漕ぎつけた。楽しくて、辛くて、でも楽しい制作生活から私は解放された。入稿を境に抑うつになって以来やめていたアルバイトも再開した。やっと元の生活に戻りつつある、という実感があったように思う。

そしてそれから約一か月後、私の家に大きな段ボール箱が3つ届いた。ついに『Modifica』は冊子として完成したのである。段ボール箱の蓋を開けて、茶色い包装紙を破ったら、見慣れた表紙の冊子が何十冊、何百冊と入っていたときの、あの感覚はきっと自分にしか味わえないものなのではないかと思う。何回も読んで読み飽きた文章、見飽きた写真でも、本物の紙にインクで印刷されたモノになった時の感動は別格である。あの感覚は一生忘れないだろうと思う。

しかし、いつまでも喜びに浸っている訳にもいかない。雑誌なのだから、人に読んでもらってなんぼである。せっかくの1500部をクローゼットの肥やしにしていたら、自己満もいいところだ。かくして、私はフリーペーパー設置期間に突入する。

まずはサークル所属時代もお世話になっていた、東京メトロの地域ラックに集中して冊子を設置していった。私のお金と時間の都合上、そして少しばかり大人の事情もあって7駅しか置くことはできなかった。たださすが天下の東京メトロ、利用者がとても多いので、私の補充が間に合わないスピードではけていった。Twitterの設置状況を見て駅に行って受け取れなかった方がいたら、本当に申し訳なかったです。

そして制作中はあまり重要性を感じていなかったSNSの重要性を、配布する段になって実感した。『Modifica』の投稿を既存のフォロワーの方がリツイートしてくださったのを見て、声をかけてくださった書店さんが何軒もあったのである。Twitterが無ければ、ここまで認知してもらい、設置のお誘いを受けることはなかったのではないかと思う。他にも、私が手伝わさせていただいたイベントで知り合った書店員の方々へ直談判をしたところ、東京以外の書店さんでも『Modifica』を置かせていただけることになった。最終的に『Modifica』は東京・埼玉・静岡・福島・大阪・福岡の計6つの都道府県、全部で25か所で配布を行えることとなった。正直作っている最中は、これほどの広範囲で配布させてもらえることになるとは想像もしていなかった。『Modifica』は制作者の予想を上回る規模に発展したのである。

エピローグ 『Modifica』のこれから、

そして、この記事を書いている時点で『Modifica』発行から3か月がたった。あっという間である。1500部あった冊子も残り400部弱になったので、設置形式の配布は終了し、今後はイベント等々での配布を考えている。制作中は(一般のフリーペーパーではかなり少ない方ではあるが)1500部という数字がかなり大きくて、初めてなのにこんなに刷って大丈夫だろうか、という心配が頭を離れなかった。ところが配布してみると、こちらを上回るペースで冊子がはけてしまったため、もっと沢山刷っておけば良かった、と後悔している。ただ、全く実績ゼロの状態で営業を始めたことを考えると1500部は妥当な数字だったのかもしれない。

じゃあ今『Modifica』は何をしているかというと、足踏み状態である。夏休み中にもう一冊作れないか?と思った時期もあったが、バイトやらインターンやらでほとんどまとまった時間が取れなかった。この5本の記事をチンタラ書き上げるのが精一杯だったのである。3か月近くお待たせしてしまったPILOTIの島田さんにこの場を借りてお詫び申し上げます。

発行してから沢山の大人からぜひこの試みを″継続”してください、と言われたのが頭から離れない。「いや、作りたくても時間が無いんすよ…。」とも言いたくなるが、続けなければいけないとは思っている。多分、創刊号で終刊・休刊した雑誌・リトルプレス・フリーペーパーも山ほどあるんだろうと思う。それらと同じような一発屋にはなりたくない。だからこそ『Modifica』2号は必ず完成させなければならない。

 

必ずしも次のアウトプットがフリーペーパーである必要は無い

ただ次に私が、『Modifica』が作るものが紙の雑誌なのかは断言できない。今もこうしてweb記事を書いているし、もしかしたら記事ですらなくなってイベントになるかもしれない。作り終えてみて、私はフリーペーパー制作の動機を思い出した。アルバイトで自らがキュレーションメディアの発信者になり、キュレーションメディアの杜撰な実情を知った。そしてSEO対策(検索エンジン最適化)が行われたそれらの粗悪な記事ばかりが、常に検索上位に表示され、ライターが一生懸命取材して書いた「生の記事」は検索結果の1ページ目にすら表示されることなく、人々から存在しないものとして扱われる。人々が接する頻度が高い、読まれる記事は粗悪な記事ばかりだ。そんな良いモノが正当に評価されないwebが嫌で私は紙のフリーペーパーを作ったのであった。つまり私がやりたかったのは、良いものを良いと言えるメディア作りであって、必ずしも次のアウトプットがフリーペーパーである必要は無いと思うのである。

そんなわけで、また新たな方々と次なる何かに向けてお話しをしている途中である。だから足踏みはしていても、決して足を止めることはしていない。一日でも早く新しい予告ができるよう、精進して参ります。

この5回にもわたる連載を最後まで読んでいただきありがとうございました。

(おしまい!)

 

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